「家森 信善」の検索結果
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ポストコロナを見据えた地域金融の課題
研究プロジェクト
研究プロジェクト » 2022年度 » 日本・関西経済軸
ABSTRACT
リサーチリーダー
APIR上席研究員 家森 信善 神戸大学経済経営研究所教授
研究目的
2014年9月に公表された金融庁の『平成26事務年度 金融モニタリング基本方針』において「事業性評価に基づく融資等」が盛り込まれて以来、金融行政や地域金融機関経営のキーワードとして「事業性評価」が注目を集めるようになった。なお、『2021事務年度 金融行政方針』では、1.コロナを乗り越え、力強い経済回復を後押しする 2.活力ある経済社会を実現する金融システムを構築する 3.金融行政をさらに進化させる と方針が示された。
金融機関は新型コロナウイルス感染症による深刻な影響を受けた経済社会を金融機関が引き続き金融仲介機能を発揮して力強く支えぬくことができるように、また国内外の社会経済・産業をめぐる変化を成長の好機と捉え資金の好循環を実現するとともに、金融サービスの活発な創出を可能とする金融システムを構築することにより、活力ある経済・社会構造への転換を促すことが求められている。また近年、世界的に環境に対して様々な取り組みがなされており、金融機関においても同様に環境に対する取組が強く求められているため、この研究会においては、地域の持続可能性を高めようとする地域金融機関のESGへの取組について研究する。研究内容
2022年度は3回の研究会を実施する。
ESG金融に関しての外部の専門家や実務家の講演会を実施し、講師との質疑を通じて、現状を正
確に把握し、課題についての理解を深める。
具体的には、事業性評価の深化を図りつつ、事業性評価の質的な向上として、ESG要素を含んだ事業性評価への発展を取り上げる。また講師として、ESG金融や事業性評価の外部専門家を招いての研究会実施を予定である。<研究体制>
研究統括
本多 佑三 APIR研究統括、大阪学院大学教授、大阪大学名誉教授リサーチリーダー
家森 信善 APIR上席研究員、神戸大学経済経営研究所所長・教授リサーチャー
西谷 公孝 神戸大学経済経営研究所副所長・教授高屋 定美 関西大学教授播磨谷 浩三 立命館大学教授小塚 匡文 摂南大学教授柴本 昌彦 神戸大学経済経営研究所准教授海野 晋悟 香川大学准教授橋本 理博 愛知学院大学准教授尾島 雅夫 神戸大学経済経営研究所非常勤講師今井 功 APIR総括調査役期待される成果と社会還元のイメージ
報告書やオープン研究会を通じて、地域金融機関の幅広い事業検討や、金融当局による金融仲介機能向上にむけた施策の立案に役立てて頂く。
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関西における地域金融面からの事業支援の課題 ―ポストコロナを見据えた地域金融のあり方―
研究プロジェクト
研究プロジェクト » 2021年度 » 日本・関西経済軸
ABSTRACT
リサーチリーダー
APIR上席研究員 家森 信善 神戸大学経済経営研究所教授
研究目的
2014年9月に公表された金融庁の『平成26事務年度 金融モニタリング基本方針』において「事業性評価に基づく融資等」が盛り込まれて以来、金融行政や地域金融機関経営のキーワードとして「事業性評価」が注目を集めている。
従来からの事業性評価(事業性評価1.0と呼ぶ)は、外側からみえにくい企業の強みや弱みを十分に見極める点に重点があった。今後もこの点での能力を向上させていくことが必要である。一方で、事業性評価の質的拡大が求められていると考えられる。すなわち、将来の外部環境の変化が急速でかつ大規模であると予想されることから、そうした変化が企業に及ぼす影響を予め検討して、その対応策を企業と一緒になって考え、企業が対応策を実行していく際に伴走していくことが、新しい事業性評価のあり方(事業性評価2.0)だと考えられる。本研究での取り組みを通じて、次のような成果を狙いとしている。①地域経済を支える金融機関の優れた実践を整理し分析して、それを横展開できるように紹介する。②事業性評価2.0の定着に向けた課題として、とくにESG金融に焦点を当てて、ESG金融を浸透させるための課題について検討し、必要な取組を提言する。研究内容
2021年度は5回の研究会を実施する。
研究会の前半では従来型の事業性評価の深化を図り、後半では事業性評価の質的な向上として、ESG要素を含んだ事業性評価への発展を取り上げる。
具体的には、それぞれの研究者が文献や各種のデータを活用して研究を行い、その成果を持ち寄り、議論を重ね、研究の精緻化を図る。また、ESG金融に関しての外部の専門家や実務家の講演会を実施し、講師との質疑を通じて、現状を正確に把握し、課題についての理解を深める。外部専門家の講演として、ESG金融の専門家や進んだ取り組みを実行している金融機関を招いての研究会実施を予定。
<研究体制>
研究統括
本多 佑三 APIR研究統括、大阪学院大学教授、大阪大学名誉教授リサーチリーダー
家森 信善 APIR上席研究員、神戸大学経済経営研究所教授リサーチャー
西谷 公孝 神戸大学経済経営研究所教授高屋 定美 関西大学教授播磨谷 浩三 立命館大学教授小塚 匡文 摂南大学教授柴本 昌彦 神戸大学経済経営研究所准教授海野 晋悟 香川大学准教授橋本 理博 愛知学院大学准教授尾島 雅夫 神戸大学経済経営研究所研究員(2022/3/31現在)芝田 健二 APIR統括調査役期待される成果と社会還元のイメージ
事業性評価の質的向上の優れた実践の紹介や課題の分析を行った書籍の刊行を予定している。
ESG金融に関する分析については、APIR報告書の形で取りまとめた後に、論文や各種の講演の形で社会や金融機関に還元する。 -
マイナス金利環境下における地域金融機関の現状と課題
研究プロジェクト
研究プロジェクト » 2020年度 » 日本・関西経済軸
ABSTRACT
リサーチリーダー
上席研究員 家森 信善 神戸大学経済経営研究所教授
研究目的
金融庁の分析によれば、2018年度において本業赤字の銀行が45行ある。特に、2016年1月に、日本銀行がマイナス金利政策を採用して以来、状況は一層厳しくなっている。金融庁は、金融機関の経営の持続可能性について大きな関心を払うようになっている。
金融政策の効果波及の重要な経路が銀行であり、銀行の行動を理解しておくことはマイナス金利政策の評価を行う上でも重要である。現在、銀行の貸出金利と預金金利の利鞘が傾向的に低下しており、また、フィンテック企業の台頭などにより、伝統的な銀行の手数料分野(振込手数料など)も浸食されつつある。
こうした厳しい経営環境の下で、地域の代表的な金融機関どのような方針で対応しているのかを、金融機関の財務データ、IR資料、企業側の情報、支援機関の評価などから分析する。あわせて、その行動が金融政策の効果波及経路としてどのような影響を持つのかを検討する。
研究内容
地域金融機関の役割を様々な視点で検証し、地域金融機関がどのように生き残り、社会的な機能を果たしていくのかを、以下のような取り組みを通じて検討するため、銀行アナリスト、金融庁・日本銀行などの当局者、欧州金融事情に詳しい研究者・専門家を講師とし招いた研究会を実施する。
・地域金融機関の現状について把握する。このために、銀行・信用金庫の経営者から経営の現状と対応策についてヒアリングを実施する。
・政府、自治体による地域金融支援状況、地域別の取組状況を把握する。このために、金融庁や日本銀行等に対してヒアリングを実施する。
・現在の地域金融の取組について、銀行アナリスト、研究者からの分析のヒアリングを実施する。
・ヨーロッパのマイナス金利政策について、関連する研究論文等をメンバーで読み解く。
・ヒアリングより得られた結果と、研究会によって得られた我々の解釈を外部の研究者や実務家に対して提示し、そのフィードバックを活用して提言としていく。
研究体制
研究統括
本多佑三 APIR研究統括、大阪学院大学教授、大阪大学名誉教授
リサーチリーダー
家森 信善 APIR上席研究員、神戸大学経済経営研究所教授
リサーチャー
高屋定美 関西大学・教授
水野伸昭 愛知学院大学・教授
播磨谷浩三 立命館大学・教授
小塚匡文 摂南大学教授
柴本昌彦 神戸大学経済経営研究所准教授
海野晋悟 香川大学・准教授
橋本理博 名古屋経済大学・准教授
尾島雅夫 神戸大学経済経営研究所・研究員
芝田健二 APIR研究員・総括調査役
期待される成果と社会還元のイメージ
年次報告書を取りまとめ、アンケート調査を軸にした書籍の刊行を企画している(2020年度内出版を計画するが、年度をまたぐ可能性有)。また、対外的に開かれたシンポジウムを計画(金融庁や近畿財務局の後援を得ることで、金融機関の参加者を増やしたいと考えている)。
それらの成果を、地域金融機関の金融業務以外の事業検討、金融当局による金融仲介機能向上に向けた施策の立案に活用されたい。
・地域経済を支える金融機関の経営課題に関し提言を目指す。
・銀行行動を理解することで、金融政策の効果波及経路についての理解を深め、金融政策のあり方に対しての提言を目指す。
・事業承継を課題として考えている関西の企業に対して、事業承継に成功した企業の事例を紹 介することで、自らの準備のヒントを提供する。
また、研究内容に厚みをつけるために、当該分野の実務家や研究者などを招いた研究会や意見交換会を開催する。
<研究会の活動>
研究会
・2020年 6月24日 第1回研究会開催
・2020年 8月 4日 第2回研究会開催(オンライン)
・2020年 9月25日 第3回研究会開催(オンライン)
・2020年10月28日 第4回研究会開催(オンライン)
・2021年 1月 8日 第5回研究会開催(オンライン)
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関西における地域金融面からの事業承継支援の課題
研究プロジェクト
研究プロジェクト » 2019年度 » 日本・関西経済軸
ABSTRACT
リサーチリーダー
上席研究員 家森 信善 神戸大学経済経営研究所教授
研究目的
中小企業の事業承継は喫緊の課題とされている。多くの事業承継者にとって、事業承継は「初めて」の体験であり、事業面はもちろん、借入への対処など様々な問題にぶつかる。そのために、高い技術やノウハウを持つ中小企業まで廃業してしまっている実態がある。そこで、政府は事業承継税制の改正を実施するなど、事業承継をしやすい環境を創ろうとして取り組んでいる。金融面においても、民間金融機関、政府系金融機関や信用保証協会などによる事業承継支援の強化が求められている。
そこで本研究会では、兵庫県信用保証協会と連携して実施した兵庫県の中小企業約8,500社(最近事業承継を済ませたと思われる約2250社と近いうちに事業承継が必要だと思われる高齢の経営者の企業約6250社)に対する事業承継に関するアンケート調査(2019年2月実施)を活用し、その調査結果を利用した分析をまとめて、関西における地域金融面からの事業承継支援の課題を明らかにして、政策的な提言を行いたい。
研究内容
中小企業の事業承継について、以下のようなテーマを理論的かつ実証的に解明する。
・現在、わが国で行われている事業承継支援の現状について把握する。このために、行政当局、金融機関、支援機関等の実務家に対するヒアリングを実施する。
・兵庫県の中小企業を具体的な対象にして、実際の事業承継がどのように行われているか、また、どのような点が障害になっているかを把握する。このために、兵庫県信用保証協会と連携して実施したアンケート調査の個票を入手できるので、クロス集計や回帰分析によって回答結果の詳細な分析を行う。
・得られた分析結果およびそれに基づく我々の解釈を、外部の研究者や実務家に対して提示し、そのフィードバックを活用して、精緻な提言としていく。
研究会では、アンケート結果の分析についてメンバー間やゲストスピーカーとの間で議論を行い、報告書の執筆に役立てる。
研究体制
研究統括
本多佑三 APIR研究統括、大阪学院大学教授、大阪大学名誉教授
リサーチャー
岩坪加紋 摂南大学教授
尾島雅夫 神戸大学経済経営研究所研究員 (姫路獨協大学・非常勤講師)
小塚匡文 摂南大学教授
柴本昌彦 神戸大学経済経営研究所准教授
内木栄莉子 愛知学院大学助教
播磨谷浩三 立命館大学教授
中山健悟 APIR研究員・調査役
期待される成果と社会還元のイメージ
・事業承継が必要だが、未実施企業の状況や特徴、事業承継に直面して感じる課題を明らかにして、地域金融機関が効果的な事業承継提案をできるようにどうすれば良いかを提言する。
・事業承継に成功した企業がどういった点で金融機関の支援を評価し、どういった点で不満を感 じているかを明らかにし、地域金融機関のこれまでの取り組みを評価することで、金融行政当局や中小企業政策当局に対する監督および政策立案のための参考資料を提供する。
・事業承継を課題として考えている関西の企業に対して、事業承継に成功した企業の事例を紹 介することで、自らの準備のヒントを提供する。
また、研究内容に厚みをつけるために、当該分野の実務家や研究者などを招いた研究会や意見交換会を開催する。
<研究会の活動>
研究会
・2019年5月8日 第1回研究会開催
・2019年7月31日 第2回研究会開催
・2019年9月11日 第3回研究会開催
・2019年10月4日 第4回研究会開催
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国際経済統合とベトナムの銀行部門:健全なシステムへの道
研究プロジェクト
研究プロジェクト » 2016年度 » アジア太平洋地域の経済的ダイナミズムと今後の行方
ABSTRACT
リサーチリーダー
研究員 CAO Thi Khanh NGUYET
研究目的
経済改革と国際経済への統合はベトナムの銀行部門に市場の多様化、国内銀行の効率性向上、経営ノウハウの習得、法制度の整備等、様々なメリットをもたらしている。例えば、外資保有の国内銀行では、重要なポストを海外の専門家が担当することがあり、国内銀行に外資銀行のノウハウが数多く移転されている。また、近代的な技術のベトナムへの普及という点でも、ベトナム経済に外資銀行が果たした役割は大きいだろう。しかし一方で、資本と経験の豊富な外資系銀行は、国内銀行に激しい競争を強いるという点も重要である。その結果、2006年~2013年において、外資系銀行が31行から53行まで増加したのに対し、ベトナム商業銀行は37行から33行に減少してきた。
以上の背景を踏まえ、国際経済統合により、ベトナム銀行へもたらされるインパクトは議論、研究されるべきと考える。また、新時代に入り、健全な銀行システムに向かい、国内銀行は外資系銀行の資本、技術、経験を活用し、国内銀行の再編成、財政力の向上、銀行サービスの提供体制の強化が求められており、これに資する政策の提案も重要な課題である。
研究内容
文献研究及び実証分析(データ資源:ベトナム政府が公表したデータセット、金融機関の公開年間レポート等)。
ベトナムの銀行システムの発展を評価するために、様々な資料に基づいて、設立された時から現在までの成長段階を分け、文献研究の他、各銀行のデータに基づく実証分析も行う。その他、ベトナムと同様、移行期経済を経験した中国と比較することで、共通点や相違点を明らかにする。
統括
林 敏彦 APIR研究統括
研究アドバイザー
藤原賢哉 神戸大学教授
家森信善 神戸大学教授
地主敏樹 神戸大学教授
森 純一 京都大学名誉教授・ダナン大学経済大学客員教授
期待される成果と社会還元のイメージ
研究成果として、論文を執筆する。ホームページでの公表、学会報告、ジャーナル投稿、ベトナム語翻をベトナム国内ジャーナルに投稿することを通じて、関心のある研究者等にベトナム金融市場について理解した上で、ベトナム金融市場が健全性を向上する取り組むべき政策を議論してもらう。